原田 | : | メンタル面は、アカデミックアドバイスという制度でもサポートしています。各学年5名ずつ3学年15人の学生を、実務家を含む3人の専任教員が担当して、 勉強に限らず広く相談を受けています。近年は、さらに2~3人の本学の修了弁護士が加わってくれるようになって、藤田さんにもすでに3回担当してくれまし たね。 |
藤田 | : | 具体的な勉強の仕方などの質問に答えました。連絡先も教えているので、遠慮なくどんどん積極的に利用して、合格に役立ててもらえればと思います。5期の渡辺君は、自分は今こういうことをやっているけれど、今のタイミングでそれはあっているのかとよく相談に来ていたので、彼は伸びるなと感じました。何をどの時期にやるかというのは合否を左右する重要な問題なのです。 |
石渡 | : | そういう質問に的確に答えられるのは、教員よりも司法試験を受けて合格した先輩ですね。中村さんのときはどうしていましたか。 |
中村 | : | 理論的なことは研究者の先生、それが実務ではどうなるかということは実務家の先生、それを使って司法試験に受かるための相談は先輩にどんどん聞きました。1年生の途中に第1回目の新司法試験が行われたのですが、合格した先輩が特別講義をしてくれたのをよく覚えています。先輩たちには本当にお世話になったので、その分自分たちも後輩のためにできることをしたい、という気持ちでいます。こういう流れが今後脈々と続いていくと思います。 |
原田 | : | 藤田さんが初代会長を務めた校友会も、特別講座や受験間際の在校生の学習サポートを代々続けています。仕事が終わってから手弁当で駆けつけてもらえるのは、この上なく心強いですね。 |
原田 | : | 弁護士になってからも修了弁護士同士の交流は続いていますか。 |
藤田 | : | はい、お互い情報交換をするし、知的財産など得意分野を持っている仲間には、仕事に直接関わる有益なアドバイスをもらっています。また、校友会の2代目会長東城さんが中国に転勤するときには、1期から5期までの仲間が集まって壮行会をしました。 |
石渡 | : | 横浜弁護士会は今何人ぐらいですか。 |
藤田 | : | 1200名を越えました。とはいえ、東京に比べるとこじんまりしており、お互いの顔が見えやすいアットホームな会です。YNUの実務家教員に会員弁護士を紹介していただき、さらに知り合いが増えていくというメリットもあります。 |
中村 | : | 将来横浜で働きたいからYNUの法科大学院を選んで、その夢を叶えている仲間も多いですね。東京では公募で採用するところが多いですが、横浜はよい人がい たら採用するというケースの方が多いです。YNUの修了生なら必ず採用されるとは限りませんが、私も藤田さんも実務家教員の事務所に採用していただきまし た。実務家教員の口添えで採用が決まった同期も多いです。 |
石渡 | : | 採用する側も、教え子なので能力や人柄、意欲、社会性などを見極められるようですね。 |
原田 | : | 実務家の先生方は、自分たちの後輩を育てているという思いが強いだけに、厳しいところもあるけれど、そこをくぐってきた者に対しては本当に温かいですね。 |
原田 | : | 法曹をめざす後輩に一番伝えたいことは何ですか。 |
藤田 | : | 大事なのは素直であること。人のいうことをありのまま受けとめて努力する人は、勉強でも実務でも伸びているけれど、相手を批判したり否定したりしている人ほど合格しにくいというのが周りを見ての実感です。 |
中村 | : | 試験でも実務でも、要求されていることを自分の頭で考えること。それを学生時代から訓練していないと、運良く試験に受かっても仕事がろくにできない弁護士 になりかねません。考えてもわからなかったら、そのときは恥ずかしがらずに聞いて、しっかりと自分のものにすることです。 |
石渡 | : | それらを踏まえた上で、自分のことよりもクライアントや被疑者、被告人のことを第一に考える弁護士、公平で弱者にも温かみを持った判断ができる検事や判事をめざして学んでほしいですね。 |
原田 | : | これからも素直でチャレンジ精神のある後輩を送り出せるよう尽力しましょう。 |