1. 法曹実務専攻トップ
  2. 入試情報
  3. 過去の試験問題、出題意図及び講評
  4. 平成16年度(2004年度)法学既修者認定試験 憲法

平成16年度(2004年度)法学既修者認定試験 憲法

以下の2問とも答えなさい。

第1問

 Y市は、「Y駅構内と同駅周辺200メートル以内での集会、大音量での演説、ビラの配布等を禁じる。違反した者は1年以下の懲役または3万円以下の罰金に処する。」との条例を制定した。ある日の日中、在日外国人Aは、Y駅前で2時間にわたり、拡声器により、外国人への参政権付与を求める演説を行い、市民団体Zを著者とする同内容の出版物の販売を勧誘したとして、起訴された。

 裁判所がAに本条例を適用し有罪とすることは、合憲であるかについて論じなさい。

第2問

 国会は、以下のような機関を設立する法律を制定した。機関A、B、Cそれぞれを新たに設置する法律につき、その合憲性について論じなさい。

 機関A:国民の請願があった場合、法律そのものの合憲性を判断し、違憲と判断した法律の改正案もしくは廃止案の提出を、国会に対して行う機関

 機関B:宗教事件について、当該宗教教義の是非も含めて、第一審の判断を行う機関

 機関C:第一審裁判所の裁判官が適用法令の合憲性に疑いがあるとした場合、その法令の合憲性について判断し、その決定に従って当該事件を審理することを、上級審も含めて裁判所に強制する機関

出題意図

第1問

 主として表現の自由の問題である。それが重要な人権であって、厳格度の高い司法審査基準が導かれること、文面審査、時・場所・態様規制の問題を論じて欲しい。さらに、外国人の人権、条例による規制の問題には触れて欲しい。

第2問

 これら機関は「法律」によるべきであろう。その上で、各機関の憲法上の性格を評価し、国会の「唯一の立法機関」性、政教分離規定、日本国憲法の「司法」権規定の解釈などから、それぞれの機関が合憲であるかを論じることが望まれる。


ページの先頭へ