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平成16年度(2004年度)法学既修者認定試験 行政法

 Xは古書籍商を営もうとして、平成15年3月15日、Y県公安委員会に古物商の営業許可を申請したところ、Y県公安委員会はXに古物営業法4条2号に規定する古物商の許可に関する欠格事由が存在するとして、同月30日、Xの申請を拒否した。ところが、Xは、古物商の許可が受けられることを前提に古書籍を多量に買いつけており、その結果多額の損害をこうむることとなった。このため、同年7月20日、Y県公安委員会のした古物商の営業許可申請に対する拒否処分の取消を求める訴えを提起し、同時に本件拒否処分によって損害を被ったとして、国家賠償の請求をすることとした。Xの提起しようとしているこれらの訴えは認められるかどうか、又、それぞれの訴えは誰を相手に提起すれば良いかについて答えなさい(なお、行政手続法上の問題点については問わないものとする)。

(参考)

古物営業法

(定義)

 第二条 この法律において「古物」とは、一度使用された物品・・・若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。

2 この法律において「古物営業」とは、次に掲げる営業をいう。

一 古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの。

(許可)

 第三条 前条第二項第一号に掲げる営業を営もうとする者は、営業所・・・が所在する都道府県ごとに都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。

2 前条第二項第二号に掲げる営業を営もうとする者は、古物市場が所在する都道府県ごとに公安委員会の許可を受けなければならない。

(許可の基準)

 第四条 公安委員会は、前条の規定による許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、許可をしてはならない。

二 禁錮以上の刑に処せられ、又は第三十一条に規定する罪若しくは刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四十七条、第二百五十四条若しくは第二百五十六条第二項に規定する罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなつた日から起算して五年を経過しない者。

出題意図

 本問は、営業許可申請に対する不許可処分の行政法学上の性質(行政行為)の特殊な効力(公定力、不可争力)の意義とその限界についての基本的な理解並びに取消訴訟及び国家賠償法の被告適格についての常識的知識を問うものである。


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